179.「五重塔」

「五重塔」というと、心を磨く「心の奴隷」になってしまった支那の殿様の話p254があります。「心の操縦を完全にする先決問題を、後回しにしちゃって、後回しにしていいことを先回しにしてしまう。潜在意識の重要さを、重要だと考えないで、おろそかにする。」このようになり易いです。潜在意識を重要と考え、心の操縦を完全にすることを先に行うことが大切です。

 

・以下、「心を磨く「心の奴隷」になってしまった支那の殿様の話p254」より

「心の操縦を完全にする先決問題を、後回しにしちゃって、後回しにしていいことを先回しにしてしまうと、それがいわゆる本当の矛盾撞着(どうちゃく)だ。

 

 これは私、支那で聞いた話、非常に面白い話だと思ってる。

 隣同士に、非常に頭のいい殿様と、頭の悪い殿様が、領分を相接して持っていて、頭の良い方の殿様が、五重塔を建てて、頭の悪い方の殿様を呼んでごちそうした。

 バカでもやっぱり、それはまあねえ、負けたくない気持ちはあるとみえて、国に帰ってから早速、家老たちを呼び寄せて、

「この間俺は隣国の大名に五重塔を建てたからって呼ばれて、ごちそうになった。あのくらいのものは、おれの国だって建つに違いないから、おれの国でもあれに負けないだけの五重塔を建てろ。

 そして隣の大名を呼んで、この間の返礼をしたいから」

 早速、家老どもが、それじゃってんで、全国の大工を呼んで、五重塔の建設に取りかかって。

 ようやく土台が敷かれて、建前(たてまえ)になったのでもって、殿様に、

「ぜひおいでを願います。きょうは五重塔の一番の、最初の柱建てをいたしますから」

 すると行ってきて、

「五重塔、どこにあるんだ」

「これからここに建てますので」

「建てますって、おれはな、五重塔の一番てっぺんで、隣の殿様にごちそうになったんだから、取り急いでてっぺん建てろ。あとはどうでもいい。一番先にてっぺん建てて、それで早く隣の人を呼ばなきゃいけないから、てっぺん建てろ」

「いや、お言葉でございますけど、やっぱり下から建てていきませんと」

「いや、てっぺん建てろ」

 って、こう言ったという話がある。

 これは結局要するに、頭としりを間違えちゃった考え方だね。

 潜在意識の重要さを、重要だと考えないで、おろそかにすると、そうしたような間違いを、間違いと思わないで間違っちゃう。

 そうなるってともう、心というものが生きるために使うのに、生きるために使う心から、反対に、あべこべに、使われてしまうことになるんだよ。

 使うものにあべこべに使われたらどうなるかということを考えてごらん。」

 

・以下、webより

 

 五重塔(ごじゅうのとう)は、仏塔の形式の一つ。層塔と呼ばれる楼閣形式の仏塔のうち、五重の屋根を持つものを指す。下から地(基礎)、水(塔身)、火(笠)、風(請花)、空(宝珠)からなるもので、それぞれが5つの世界(五大思想)を示し、仏教的な宇宙観を表している。