204.「円相 悟故十方空 迷故三界城」

 天風先生のご本「盛大なる人生」にも天風先生の書が入っています。

 お遍路さんの装束のひとつである菅笠に書かれた言葉です。菅笠には、このほかに、弘法大師を表す一文字の梵字と、「同行二人」の四文字が書かれています。

 こだわりを捨てることの大切さを教えてくれています。

 1959年夏とあります。

 

・無着道忠禅師

(この偈(ゲ)は江戸時代に無着道忠禅師が書いた小叢林清規の中にある文言で、その当時は葬式の際に導師が棺桶の蓋に書いたもの。と言われています。)

 迷故三界城 (迷うが故に三界(欲界、色界、無色界)は城なり)

 悟故十方空 (悟るが故に十方(あらゆる方角)は空なり)

 本来無東西 (本来東西は無く)

 何処有南北 (何処んぞ南北有らんや)

 

 その意味は「迷いがあるから、まるで城に閉じ込められているかの如く愚劣な考えに縛られて自らを苦しめている。悟りを得ると大宇宙の如く自由自在な境地を得ることが出来る。この世には本来、東も西もない。拘りを捨て、ゆったりと世の中を渡って行こう」。「同行二人」とは、いつも弘法大師と共にあるということ。

 

三界(さんがい、梵: tri-dhātu):仏教における欲界・色界・無色界の三つの世界のことであり、衆生が生死を繰り返しながら輪廻する世界をその三つに分けたもの。 三有(さんう)ともいう。 仏陀はこの三界での輪廻から解脱している。

 

 

十方:十の方角のこと。東、西、南、北の四方と、東南、西南、西北、東北の四維(しゆい)、それに上、下の2方向をあわせた10方向をいう。すなわち、あらゆる方角のこと。仏教で十方三世(じっぽうさんぜ)とは過去、現在、未来にわたるあらゆる時間とあらゆる空間を意味する。大乗仏教では、われわれの住む娑婆(しゃば)世界のほかに、十方に無量の世界、すなわち十方世界があり、そこには一世界に一仏の割合で三世にわたって無数の仏が出現すると説く。これを十方三世の諸仏という