223.「十牛訓 第三図 見牛 序 1964年 春」

 今回も、前回に続き 十牛訓の序です。第三図の「見牛」です。

 

・読み下し(webと註(2枚目)による)

声より得入すれば 見処(けんじょ)源に逢う。

六根門着着(じゃくじゃく)(たが)うことなし。

動用(どうゆう)の中 頭頭(ずず)顕露(けんろ)す。

水中の塩味(えんみ)、色裏(しきり)の膠青(こうせい)

眉毛(びもう)をサツ上(さつじょう)すれば 是れ他物(たもつ)に非ず。

 

意味:

声を聞いて牛(真の自己)に会うことができるし、眼で見ても牛と会う。

六つの感覚(眼、耳、鼻、舌、身、意の六根門)の一つ一つで行きちがうことがない。

また、日常の動作の一つ一つに、ズバリとそれが現われている。

塩水に含まれている塩味や、絵の具に使われる膠のようなものだ。

眉毛を上げて眼をカッと見ひらけば、仏性(牛)はほかの物ではない、

 

まさに真の自己そのものではないか。