7.凌寒苦 梅花複郁 (寒苦を凌(しの)ぎ、梅花 馥郁(ふくいく))

馥郁:よい香りがただよっているさま。「馥郁たる梅の香」

「心を磨く」中村天風講演録p147 には、以下の説明があります。

 

 心を完全に操縦し、またこれを完全に支配する威力を有するものは、実に意志なるものより外には絶対にない。意志なるものが、心の働きの一切を統率する最高なる統率者なんです。

 そもそも意志というものは、元来真我の属性なんですから、意志そものは非常に強いもので、俗に意志が強いとか弱いとかいうのは、これは意志そのものの強弱をいうのではなくして、意志のちからの発現の強いか弱いかを指して行ってるんだよ。

 ですから我々が第一に当面急務として知らなきゃならないことは、、意志の力をもって完全に自己の心を操縦すべく、いかにすれば意志のちからを発現させることが出来るかという実際的な手段です。

 それはどういうことかというと、第一に意志の集中ということを現実にする修練をして、意志の力の発現を容易にする習慣をつけるということ。

 意志の力は、意志の集中を実現するべく習慣づけると、極めて自由にそして極めて強固に発現するようになる。

 そして意志の力が完全に発現すれば、心は自由にこの命令に服従し、また自由に支配され ることができるようになり、任意の操縦ができるようになるんだ。

 ただし、くれぐれも注意しなければならないことは、決して急ぐなかれということです。

 このことはすこぶる重要なことなんで、一朝一夕、目的の彼岸に達することは容易ではない。 

 くたびれたら休み、進歩を焦るのではなく、むしろ一歩一歩を堅実に進むことをお奨めする。

  梅花の馥郁たるや蓋し、霜、雪、霰の寒苦を経たるが故であることを悟って、徐々として堅実なれ、とあえて申し上げる。

 

・また、安武貞雄先生の解説(志るべNo.129 昭和48年2月号)では、以下のようになっていました。

 あらためて解説するまでもない。きびしい寒さをものともせず、かんばしい香を放って、凛然と咲く梅の花の画を見れば、句意は明瞭であろう。