木曜行修会「いつでもどこでもクンバハカは役に立つ」 山本正徳

 

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 天風先生からは、感応性能の積極化を図る三つの方法(観念要素の更改法、積極観念養成法、神経反射の調節法)を教えて頂いています。

 この中の神経反射の調節法(クンバハカ)は、天風会の三大密法の一つです。今回は、クンバハカの応用であるプラナヤマ(活力吸収法)と養動法も説明します。

 

Ⅰ.神経反射の調節法(クンバハカ)

1-1 クンバハカの方法

肛門を締め上げ、同時に肩の力を抜き、下腹に気をこめます。

(真人生の探求「下腹部に力を充実せしめる。」

(実践のコツ=両手の小指を軽く締め両足の親指を軽く曲げ締める)

・実行方法(影印版 心身統一哲医学 より)

(1) 肛門……尻の穴を吸込む状態にする事(直腸を上げる心持)

(2) 腹 ……尻の穴を締めると同時に下腹に力を入れる

(此の場合上腹と臍(へそ)は引込む様になる)

(3)   ……同時に肩の力を全然抜く事(肩を下す心持)

 

①絶対クンバハカ:上の三拍子を強く決めると同時に、息を止めます。

②相対クンバハカ:上の三拍子のうち肛門下腹は八分の締め心地で息をしつつ行動もする。

③自然クンバハカ:全身リラックス、肛門が軽く締まり肩の力が抜け、下腹に軽く気がこもった状態。クンバハカが身につくと、睡眠中でも、この状態を保てるようになります。

・効果:クンバハカ密法はあらゆるストレスの解消に役たちます。全身の生命力を活性化し、血液循環、新陳代謝、自然治癒力を旺盛にし、頭脳明晰、虚心平気、対人同化力強化等、絶大な効果を発揮します。

 

1-2 クンバハカの生理

 肛門を締めると仙骨神経叢が、肩の力を抜くと横隔膜神経叢が、下腹に気をこめると腹腔神経叢が確実に安定します。これらの働きで、自律神経のはたらきを調整、神経反射を調節して有害ストレスを抑制します。

⇒つまり、無駄な力が入らない状態です。力が抜けた状態ではありません。

必要なところには、必要な力が入っています。

 

Ⅱ.プラナヤマ法(活力吸収法:影印版 心身統一哲医学 より)

2-1 方法

空気中には人間の生命に絶対に必要なる、活力を充満している事を観念する

第一、観念の確立(空気中の活力を吸収すると云ふ)

第二、クンバハカの状態となる(呼吸直前)

第三、吸氣……観念併用(能ふ限り静かに長く吸ひ込む)

第四、クンバハカになり止息

(充分吸込みたる後クンバハカになりグット力を入れ瞬間息を止める)

第五、呼氣……観念併用(吐き出す時は恰も毒素を出す氣持で静かに行う事)

 但しこれを行う場合は一回の実行に十呼吸以内とし、若し度々行はんとする場合は、時を替へて何回にても度数的に行う。

 

2-2 プラナヤマ法実行の最も有効なる時

(1)朝の起床時

(2)夜の就眠前

(3)疲労を回復せんとする時

(4)ヨリ以上元氣を出さんとする時

(5)勢力を回複する時

但し成るべく清新なる空気の場所に於て行い、且つ生々とした植物の前に立ち、植物の包含せる精を吸ひ取る氣持を以て行うならば一層効果生ず。

 

Ⅲ.養動法(鎮心と活力分布法:クンバハカ応用 影印版 心身統一哲医学 より)

3-1 方法

(1) 足の母指を重ねて正座する

(2) 膝間の間は手の拳三つ四つ並べた位開く

(3) 両手を軽く組み合せ手の母指は臍(へそ)の所へ持って行く

(4) 姿勢を直立に正す

(5) 目を閉じる方よろし  以上準備

(6) 肩をキュッと上げ後下げる

(7) クンバハカの状態を軽く保つ

(8) 腰から上部、即ち胴、首、頭等は全然力を抜き馬鹿にする

(9) 身体を静かに意識的に上下又は左右に動かす

(10)終りには無意識的に動かす様になる、但しこの運動を行う場合は、一、二分乃至十分間位真剣に実行する事

 

 3-2 養動法の効果

血液の循還を促進せしめ、特に内臓即ち内部筋肉細胞の凝(こり)、其他体内総ての凝を治す。

 

3-3 養動法実行の時

物事を考へる時、感情の興奮を鎭める時、至難な問題に遭遇した時等に於て臨機実行すれば特に効果があります。而して平素は特に朝起床の時、夜就眠前五分間位は毎日忍耐し効果を自覚しつつ努めて正しく実行する事が肝要であります。