木曜行修会 「言葉に霊あり」 服部嘉夫   20191010

 私達の生命、人生に大きな影響を与えるものは言葉です。聖書「ヨハネによる福音書」の冒頭に「初めに言葉があった。言葉は神と共にあった。言葉は神であった。全てのものはこれによって出来た」とあります。我が国でも古来よりこれと同じ思想があります。「言葉に霊こもり、言葉自体に力があり、それによって幸福はもたらされる」と云う思想 つまり「言霊(ことだま)の思想」です。私達の先人は言葉のもつ不思議な力に気づいており、「万葉集」にも「そらみつ大和の国は、言霊(ことだま)の幸はふ国と語り継ぎ、言い()かひけり」と書いてあります。

 私達が言葉を使う場合 言語大系(language)から選んで言葉を発声します。言語は私達が生れる前からあるもので、私達には責任はありません。しかし言葉は責任があります。何故なら、言葉は暗示の媒体の一つで、自分自身をより良くし、悪くもします。又他の人にも良くさせる力があり、逆にスポイルさせることも出来るからです。

 人間は誰れでも暗示感受習性を持ち、無条件に批判することなく、簡単にいつの間にか、知らぬ内に暗示にかかりやすい性質をもっています。

 暗示には積極暗示と消極暗示があります。うっかりしていると知らず知らず、序々に外から入る暗示により、自分の人間形成が積極や消極に決定されてしまいます。

 天風先生は「暗示の一つである言葉は重大な魔力を持っているから、日常生活で上顎と下顎がぶつかり放題 好い加減に(しゃべ)らないで、言葉使いに注意しなくてはいけない」と申されます。

 人間の心のはたらきの中で、思考が確定しないと言葉、行動に表現されません。思考がそう思ったから言葉に出るのです。心にフランス語が無ければ フランス語を話すことは出来ません。心に消極的思考があると、言葉も消極的になります。会話を聞いていると、天風会員かそうでないかすぐ解ります。言葉はその人を示す目印、標識です。

 

 又一方、人間は言葉で思考します。積極的言葉を使うと思考が積極化します。だから言葉は人間を造り、言葉は人生を左右します。言葉の誦句にあるように「終始楽観と歓喜と、輝やく希望と溌剌たる勇気と、平和に満ちた言葉でのみ活きよう」と心掛けましょう。