151.「達磨 画賛(渾身似口掛虚空・・)」

151.「達磨 画賛(渾身似口掛虚空・・)」

 

 天風先生は、達磨の絵や書を色々と書かれています。

 この軸は、達磨の絵に 如浄禅師(道元禅師の師)の漢詩が書かれています。

「渾身似口掛虚空 不問東西南北風 一等爲他談般若 滴丁東了滴丁東 1957年秋 天風」

 

「ていちんとうりょう、ていちんとう」を漢字で書くと、「滴丁東了、滴丁東」です。

これは、昔の中国の如浄禅師(道元禅師の師)が詠んだ詩「風鈴の詩(頌)」に表された一節です。日本から留学して如浄禅師の影響を大いに受けた弟子の道元禅師が『正法眼蔵』でも紹介しています。

 風鈴は、心が空っぽだから風にさからいません。東西南北どのような方向から風を受けても風鈴は変わらずチリンチリンと鳴り響きます。煩悩・執着がない状態です。人生に於いてどのような風が吹こうと同じように平常心をもつことを示しています。

 

 「風鈴の詩」

 渾身口に似て虚空に掛かる

 問わず東西南北の風

 一等誰が為に般若を談ず

 滴丁東了滴東了        如浄禅師

 

 風鈴は全身が口ばかりで、大空のもと軒下に掛かっています。その風鈴は東西南北いずれの風をも嫌いません。等しく私達に仏の教えを説いています。どう説いているかというと「チリーンチリーン」と。順境の時も逆境の時も、一所懸命生きよと説いています。

 どうかすると私達は、我見のため選り好みをしてしまいます。健康や春秋を好み、病気や暑さ寒さを嫌ってしまいます。風鈴は心に我見がなく空っぽですから、どんな風が吹こうとも、物事にとらわれることなく無心に生きることができるのです。(webより)