93.「静」

 「静」です。この文字が天風先生は、多く書かれています。

 

真理のひびき 新箴言注釈・箴言27に、「冷静」「鎮静」「平静心意」と「静」を多く使われています。心が静かでない興奮状態ですと、判断能力が格段に落ちます。湖でも、水面が静かだと下まで見ることができますが、さざなみが立っていると水が濁って下まで見えなくなります。心も同じで安定打坐して静かにすることが大切です。

 

 「多く言うまでもなく、人間が原因のいかんを問わず、腹をたてているという時の心理状態は、決して正常な心理状態ではないのである。要言すれば、腹をたてているという状態は、憤怒という激情の発作したときのことをいうので、そのときの意識状態は、たとえ側面から見て、冷静であるように見えていても、事実においては断然平静を失って、異常な興奮状態に陥っているときなのである。

 

 こういう場合、かりそめにも宇宙真理に順応して正当な人生に活きんとするわれら天風会員は、その事態を苟(いやし)くもすべからずである。すなわち、極力誠心誠意、その憤怒の激情を鎮静せしめて、正規の平静心意に復帰するよう、その誘導に尽くすことを、対人行為心がけの第一とすべきであると言いたい。(真理のひびき 新箴言注釈・箴言27 「腹を立てて居る人には 決して その心持に 過度の共鳴をしたり 或いは 煽動してはならない」より)